補償光学とは
地上望遠鏡による天文観測は、つねに地球大気のゆらぎの影響を受けて星像がぼやけてしまいます。すばる望遠鏡のあるハワイ島マウナケアは非常に優れた観測サイトとして有名ですが、それでもこの大気のゆらぎの効果からは逃れることができません。星像がぼやけることによって、本来見えるはずの天体内部の細かい構造が見えなくなってしまいます。補償光学とは、大気ゆらぎに合わせて望遠鏡の鏡の形を高速で変形しながら観測する技術で、大気ゆらぎを打ち消し、本来のシャープな画像を得ることができます。地上にいながら、まるで宇宙空間に飛び出して観測する宇宙望遠鏡のような高い解像度の画像を得ることができます。従来の補償光学は「視野が狭いもの」というのが常識でした。しかし私たちは、地表に近い部分の大気ゆらぎを補正する新しい補償光学システムをすばる望遠鏡に導入し、世界一広い視野にわたって星像を改善できる補償光学システムの確立を目指しています。その基本原理については以下の解説をご参照ください。